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2007年11月 9日 (金)

銀河鉄道

夜会 VOL.13 24時着 0時発
アルバム転生発売の前、「命のリレー」がTVドラマの主題歌としてタイアップされていて、そのサビの部分からひょっとして?とは思っていた。

「線路の外の風景」タイトルとイントロ…ジョバンニとカムパネルラが途中下車して遊ぶ星の川原がぴったりイメージとして重なった。

この夜会は銀河鉄道の夜へのオマージュではないか?

ただ、夜会vol.13ではジョバンニという固有名詞は出てこない。
再演された夜会vol.14ではジョバンニという名詞が出てくるらしいので、ひょっとすると「銀河鉄道の夜」はそれほど知られていない作品なのかもしれない。

賢治の銀河鉄道は、平行世界を結ぶ手段として描かれている。その平行世界には「あの世」駅と「この世」駅も存在しており、「この世」から「あの世」へ旅に出る人々と主人公のジョバンニとの交流がメインに描かれている印象が強い。一緒に旅をしていたカムパネルラが「あの世」行きの乗車券を持ち、ジョバンニは行き先指定無しの乗車券であったということ。その結果としての親友との別離という結末が、この物語の陰を濃くしている。さしずめ、人は片道切符を手にして生きているのだとでもいうかのように。
ただ、賢治の銀河鉄道は、永遠の中を動いている。

対して、中島の銀河鉄道は停まっている。厳密に言えば、袋小路に入ったまま戻ることもならず立ちすくんでいる。何が鉄道を停めたのかは『リゾート・ラッシュ』に暗示されている。
主人公の道連れは、彼女の影。そして、袋小路から脱出するための行動を起こすのも主人公。
中島みゆきの徹底した個人主義が仄見える。
無論、この個人主義は利己主義とは相容れないものである(念為)。
あ…これってグスコーブドリじゃないか?賢治の世界全体へのオマージュなのかな、この作品。

理屈はともかく、この夜会DVDの映像、見所が多い。

体力編
みゆきさんがぺったり横になったまま歌う『分水嶺』。
普通あの姿勢で歌は歌えんぞぉ…(ブレスしたときの呼吸が、引いたレンズ越しにはっきり見える。すごい肺活量。)
『フォーチュン・クッキー』が歌われている場面で、助演の香坂千晶さんが綱のぼりのパントマイムをしているのだが…背筋をのばしたまま上体を起こしていく演技…並みの人間ではもっと背中をまるめないと上体は起きない…
役者さんや歌い手さんって、本当に体を鍛えてるのがよぉくわかります^^;

衣装編
主人公とその影…場面によって入れ替わるこの関係が衣装で表現されている。恥ずかしながら、最初は気づかなかった。多分、夜会そのものを1回見ただけでは見過ごしていただろうと思う…DVDでよかった。
また、大勢の出演者の衣装に添えられている赤い色…これが、その人たちの正体を明らかにしている。

歌(アルバム未収録…今後収録を期待)編
この夜会、台詞はほとんど歌によって表現されており、大部分はアルバム「転生」に収録されているのだけれど…収録されていない歌の中から…
『サヨナラ・コンニチハ』
『分水嶺』
『パーティー・ライツ』
『水を点して火を汲んで』
特に「サヨナラ・コンニチハ」は「無限軌道」(転生に収録)と対を成す曲なので、転生に収録されなかったのが不思議である。

歌(アルバム収録済だけど、こっちのアレンジが…)編
『サーモン・ダンス』
『帰れない者たちへ』
「サーモン・ダンス」はアルバムではギターが基調音になっているけれど、映像であの踊りを見てしまうとバイオリンを基調としたこちらのアレンジの方がどうしてもしっくりする。
「帰れない者たちへ」はこちらのほうが切々と歌い上げて、この歌の持つ寂しさが強く感じられる。

所謂【中島みゆき】ファンでない人に勧めたいな…このDVD。

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