私は日本人だから、そして、私は人間だから
我ながら意味不明なタイトルではある。
「問う女」(中島みゆき 著、幻冬舎 刊)をとりあえず一回読んでふと思ったのが、これ。
この本、かなりごつい。
喉元に何度もナイフを突きつけられるような文の塊である。
著者のアルバム「生きていてもいいですか」につながるような小説である。
いや、小説の形をとった、ある種の宣戦布告かもしれない。
結びの主人公の独白を引用する
------引用開始(太字等の強調は引用者による)------
「――――行って来ます。どれだけ長くかかるかわからない旅だけど、メャオを娘に返したら、私はきっと帰ってきます。
日本人しかいなければ安全だと嘯く彼等の国へ、私は、日本人である私を、強制送還します」
------引用終了------
「彼等の国」は日本であり、「私」もまた日本人である。
しかし、「彼等」と「私」は絶対に相容れない。
だからこそ、帰国を「強制送還」と読み替えている。
そして、帰国した「私」は、「日本人しかいなければ安全だと嘯く彼等」の傲慢を脅かす存在たらんと宣言している…ように読めるのだ。
この宣言にこめられたとてつもない怒りを、怒りと感じられない(受け入れられない)者も多いだろう。
極めて残念なことだが、今年に入ってから起きた諸々の事件、特に沖縄の少女暴行事件にあたっての一部のマスコミに賛同する立場のものたちからは、絶対に受け入れられまい。
もちろん、過去の歴史に目を背けて「日本は悪くないんだもの」と駄々をこねているものも。
彼らはこの怒りを認識する能力に欠けているのだから。
しかし、私はこの宣言に賛同する。
弱者を排除して偽りの安全を謳歌する彼等に、怒りを表明する。
それは何故かと問われるなら、こう答える。
「私は日本人だから、そして、私は人間だから」
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