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2008年5月 6日 (火)

憲法前文読み比べ

あるところで、日本国憲法と自民党改憲草案の前文を掲載してあった。

憲法前文とは、憲法の解釈において基本となることを要約したものである。
というわけで、改憲草案の方を私流に注解してみることとする。

-----自民党 案-----
前文

 日本国民は、自らの意思と決意に基づき、主権者として、ここに新しい憲法を制定する。

 象徴天皇制は、これを維持する。また、国民主権と民主主義、自由主義と基本的人権の尊重及び平和主義と国際協調主義の基本原則は、不変の価値として継承する。

 日本国民は、帰属する国や社会を愛情と責任感と気概をもって自ら支え守る責務を共有し、自由かつ公正で活力ある社会の発展と国民福祉の充実を図り、教育の振興と文化の創造及び地方自治の発展を重視する。

 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に願い、他国とともにその実現のため、協力し合う。国際社会において、価値観の多様性を認めつつ、圧政や人権侵害を根絶させるため、不断の努力を行う。

 日本国民は、自然との共生を信条に、自国のみならずかけがえのない地球の環境を守るため、力を尽くす。
------ここまで------

…さて…

>日本国民は、自らの意思と決意に基づき、主権者として、ここに新しい憲法を制定する。

何故憲法を書き換えるのだという理由が、まったく説明されていない。
あのな…どんな法律だって、日本国民が主権者として制定しているのだぞ。
そのために立法府の議員を選挙で選んでるんだ。議員はその権能を委任されているだけだ。
法律の上位・下位の概念がわかっていないことを最初から露呈している。

>象徴天皇制は、これを維持する。また、国民主権と民主主義、自由主義と基本的人権の尊重及び平和主義と国際協調主義の基本原則は、不変の価値として継承する。

普通の会話・文書で物事を列挙する場合、重要なものから始めるものである。
さて…天皇制を最初に持ってきてますね。接続詞「また」はこの場合どういう使い方なのかなぁ?
どう解釈しても
(象徴)天皇制の維持≧国民主権・基本的人権の尊重・平和主義
という位置づけになりますなぁ…
さらに国民主権に「自由主義」という限定をわざわざつけているという点も胡散臭い。
すなわち、天皇制の維持のためなら国民主権・基本的人権の尊重・平和主義は捨てる可能性をこめているわけですな。

>日本国民は、帰属する国や社会を愛情と責任感と気概をもって自ら支え守る責務を共有し

出たな ばけもの。
一番問題なのはここである。
憲法をせせこましい「日本」に閉じ込めて、世界の中の日本という視点からの宣言を否定する。
偏狭な「愛国心」全開である。
ここは現日本国憲法前文の生存権について記載してあるところと比較するのが良いだろう。

----日本国憲法 前文より抜粋------
われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
-----抜粋終わり-------

「全世界の国民」ですぜ。独り日本国なる制度に留まらず、全世界にまで普遍すべく書かれているのですぜ。改憲をいうなら、これを超える論理を提示して欲しいものですな。
こんな偏狭な精神世界を陳述しているから、後段の平和主義が色あせてしまう。

>日本国民は、自然との共生を信条に、自国のみならずかけがえのない地球の環境を守るため、力を尽くす。

京都宣言を踏まえて書いているものとは思うが、前文に書くほどのことか?
逆に、これさえしていれば良いのか?
現日本国憲法の前文末尾と比較してみよう。

----日本国憲法 前文より抜粋------
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。
-----抜粋終わり-------

改憲草案の薄っぺらさが際立つなぁ。

最後に、改めて現在の日本国憲法前文を…前出改憲案と読み比べ、格調高い文章である。

------日本国憲法 前文(1947年施行)------
 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。
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現行憲法と改憲案の読み比べをするための参考URL
http://www.cc.matsuyama-u.ac.jp/~tamura/jiminkaikenann.htm

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